こつこつ基礎医学日記

東北の医学生による日々の勉強の記録

ネルンストの式と静止膜電位

・ネルンストの式

 

 水溶液中でイオンの濃度勾配が存在すれば、拡散によって電位差が生じ、電位差は濃度勾配に逆らってイオンを移動させようとする。二つの力が釣り合うところで平衡に達し、正味のイオンの移動はなくなる。ネルンストの式は、この濃度差と釣り合う電位差Eを表す式である。

 

ERTF log[細胞外イオン濃度][細胞内イオン濃度]

R気体定数8.315 Jmol-1KT絶対温度F=ファラデー定数)

が成立する

RTF37℃であれば61Loglnの変換は2.303×log10XlnXを使う。

 

 もともとは細胞内外の電気的ポテンシャルのつり合いを求める式で

細胞内の電気的ポテンシャル=細胞外の電気的ポテンシャルとなる下記の式から導出される。

zF×EiRTln[Ci]zF×EoRTln[Co]

 

・静止膜電位

 

 静止膜電位の形成に寄与しているのは主にKである。細胞では膜表面にNa/KATPaseが発現しており、1分子のATP加水分解して、3分子のNaを細胞外へ排出し、2分子のKを細胞内へ取り込んでいる。この作用により、細胞内ではKが高濃度に存在している(K濃度は150mEq/l、細胞外は5mEq/l)。

 

 細胞膜にはNa/KATPaseのほかに、Kリークチャネルが発現しており、濃度勾配に従ってKを細胞外に排出している。細胞内にあったK+が細胞内から細胞外に移動することによって、静止膜電位が形成される。ネルンストの式から求められる、神経細胞におけるカリウムの一般的な平衡電位は―90mVである。

 

複数の種類のイオンが出入りしている膜電位は、各イオンの透過性を考慮したゴールドマンの式で表される。NaKClの出入りを考慮している。

 

ゴールドマンの式では

E(平衡電位)=RT/F log (Pk[K]oPNa[Na]oPcl[Cl-]i/ Pk[K]iPNa[Na]iPcl[Cl-]o)

が成立する。

 

Pはそれぞれのイオンの膜透過性を意味し、静止状態ではKNaCl1:0.04:0.45である。活動電位が生じている時には、KNaCl1:20:0.23となり、ナトリウムイオンの透過性が上がる。静止状態の透過性で膜電位を求めると約-70mVとなる。